日内休眠(にちないきゅうみん)

クマ志郎先生の休眠教室 #04

みなさん、こんにちは。私は動物の「休眠(きゅうみん)」の研究をしているよ。動物がほとんどエネルギーを使わない状態を休眠っていうんだ。休眠が何ヶ月も続く「冬眠」はとても有名だけど、数時間だけ休眠する動物もいるんだ。そんな休眠を「日内休眠」ってよぶんだよ。今回は日内休眠についてくわしく説明しよう。

哺乳類(ほにゅうるい)は自分の体の温度を約37℃くらいに保つために、自分の体の中で熱を作っているんだ。哺乳類にはゾウみたいに大きな動物からリスみたいに小さなものまでいろんな大きさの動物がいるけれども、体温を37℃に保つためには、小さい動物ほどたくさん熱を作らないといけない。正確にいうと、体のわりには、たくさんエネルギーを使わないと、37℃を保てないんだ。コップのお湯とお風呂のお湯を比べると、コップのお湯のほうが早く冷める。これと同じで、小さな動物のほうが熱が逃げていきやすいので、体温を37℃に保つためにたくさんのエサが必要なんだ。なので、小さな哺乳類の中には、十分な食料がないときには、季節に関わらずエネルギーを節約するために1日に数時間おやすみをとって、熱を作らなくなる仲間がいる。熱を作らないから食料を節約できるけど、そのぶん体が冷えてしまって動きも鈍くなってしまうんだ。このような1日に数時間の熱を作らないお休み期間を日内休眠と呼ぶ。日内休眠をおこなう哺乳類にはジャンガハムスター、ハツカネズミ、ピグミーマウスなどネズミの仲間が多いけど、モモンガ、スンクス、コウモリ、そしてキツネザルの中にも日内休眠をするものが確認されている。

日内休眠は小さな哺乳類が少ない餌(えさ)で生きていくための知恵とも言える。食べ物がないなら見つかるまで探すのも大切だけど、探すことだってエネルギーが必要だ。だから、自然界にはあえて食べなくなることエネルギーを節約して生き延びる動物もいるわけだ。ちなみに毎日休眠する動物も必ず睡眠をとるといわれている。休眠と睡眠は見た目はそっくりだ。数時間動かないし、静かに近づけば気づかれない!だけど、明らかにちがうのは体温をしっかりと保っているかどうかだ。睡眠中は体温は37℃前後に保たれているけど、日内休眠は発熱しなくなるから体温がさがってしまう。日内休眠と睡眠の似ているところ・違うところがより詳しくわかると、将来は睡眠を全部日内休眠で置き換えられるかもしれないね。今後の研究に期待しよう!

(追伸)こちらに動画版もあるよ。

クマ志郎

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